歯周病と構造力学に配慮した審美歯科治療

おはようございます

朝方の冷え込みは中々なものになってきましたね。巷では感冒様疾患がはやり始めているという話も聞きますし、皆様体調など崩さぬよう、お気を付けください

さて、先週の土曜日に母校:医科歯科大学で講演したことを当ブログでお伝えいたしましたが、本日はその中の1症例の解説をさせて頂こうかと思います。

私は主に 歯周病をベースにしたインプラントと噛み合わせ畑 を歩んで参りましたが、患者さんの要望は歯周病の治療だけではありません。かみ合わせだったり、銀歯の再治療だったり・・・そのような場合、患者さんの口腔内をきちんとした状態に戻そうとするためには、歯周病の知識だけでは到底太刀打ちできません。総合的な診断力と実践力が必須となりますので、専門馬鹿はだめだということになります。

その中で最も基本的な部分が歯周組織、つまり歯周病治療の知識であり、それなくしては審美治療など単なる 『張りぼて』 にすぎなくなります。

今回のケースは、軽度の歯周病に罹患した前歯を、生物学的に許与できる形に改善した上で、審美的な結果を患者さんに提供出来た症例となります。

 

☟初診時です。奥歯のインプラント前歯を綺麗にしたいということで来院されました。古いセラミックのやり替えと、虫歯の治療を計画しました。

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☟古いセラミックを外したところです。虫歯のため歯の大部分を失ってはいますが、この程度であれあれば、きちんと対応することでまだまだ現役で活躍させることができます。ただし、このままセラミックを入れてしまうとセラミックが外れやすいので、部分的に矯正を行い、歯を引っ張り出し力学的に噛む力に耐えられる形に改善していきます。またそれは、歯の長さを審美的に左右対称にできるというメリットもあります。

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☟矯正期間中はご覧のように最低限の審美性を保ったまま過ごしていただけます。状況にもよりますが、この程度の矯正の場合は針金を使わずに治療を進めていくことが可能です。術前と比較すると、歯根と一緒に歯肉のレベルも改善されていることがわかります。この後、歯周組織の形成外科を行いうことで生物学的に、かつ審美的に組織を左右対称に仕上げることができます。

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☟他の虫歯が大きかった歯も含めてセラミックを入れていきます。セラミックにも色々な形式のものがありますが、写真で既に入っているものは主に審美性改善のためのラミネートべニアです。それ以外の部分には歯を保護する事も含めて、オールセラミッククラウンを製作しました。

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☟治療後です。治療前と比べて頂くとわかるように、審美的には著しい改善が見られます。また直接は目には見えませんが、歯肉および、その中に隠れている骨も生物学的にバランスのとれた状態へと改善されています。部分矯正と外科処置を伴いますので治療期間はやや長め(6か月~)となりますが、長い人生を考えた場合、数か月急いでも、またすぐトラブルが再発する治療は遠慮したいものですね・・・。
この患者さんの場合、奥歯にインプラントを入れたこともあり、『自分自身が10歳若返った!』 と大変満足されています。

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ご覧になって頂いたように、中川歯科では、見た目だけでなく歯周組織からの健康を考えた審美治療を実践しております。

美容的ではない、真の審美治療に興味のある方がいらっしゃいましたら、是非ご相談させて頂ければと存じます。

中川歯科医院 理事長 中川雅裕