中川歯科医院の審美歯科に対する考え方
審美歯科:Esthetic Dentistryという言葉が世の中に紹介され、今ではほとんどの方がご存知のことと思います。
このような呼び方をされるようになったのは、松田聖子さんが若手歯科医師と再婚されたときからだと記憶しております。
彼はUCLAで審美歯科の勉強をされましたが、アメリカには昔から審美歯科を専門に研修する分野があります。
最近では、日本の大学にも審美歯科治療を掲げる診療科が作られているようですが、矯正歯科学のように一つの学問としての「審美歯科学」というものは存在しません。どうしてなのでしょうか?
審美歯科とは、たとえばインプラントや歯周外科、オールセラミックや矯正治療などの個々に確立した治療を駆使し、患者さん固有の状況を考慮しつつ、全体的にバランスの取れた美しさを獲得する必要であるからです。
したがって、しっかりと勉強している歯科医師であればきちんとした処置をすることは、簡単ということではありませんが、それほど難しいことではありません。
審美歯科最も重要なことは、本当の審美歯科を実践するためには、歯周再生療法・インプラント治療・矯正治療などの治療方法に精通しているだけでなく、更に全体的な治療計画を立案することの出来る総合的な能力が歯科医師の側に要求されるということです。
長期間にわたり美しい状態を維持するためには、治療に取り掛かる前にしっかりとした診断が必須であり、それに基づいて計画された審美歯科治療が円滑に進められる必要があるのです。
中川歯科医院の審美歯科へのこだわり
スマイルデザイン:Smile Design
1.まず初めに、全体としての歯と患者さんの顔の関係を調べます。
Smile Designというからには、平常時ではなく、笑ったときの歯と口唇の関係を調べなくてなりません。一般的に、笑ったときの前歯の先端を連ねた線が下唇のアーチと一致すると美しく見えるといわれています。(画像)後述致しますが、個々の歯の形態に関しては下記に述べる一定の基準を満たしていれば個人的な好みの問題:いわゆる「個性」と考えています。
全てが規格化:人工的で個性が少ない物は面白みがないと思いませんか?
2.次に確認するのは、歯と歯肉の高さの対称性です。特に注意が必要なのは歯肉の対称性で、この時点で左右対称でない場合は、審美形成外科、もしくは矯正治療が必要かも知れません。通常、歯肉の対称性が獲得できていれば、セラミックなどを左右対称に作ることはそれほど難しくはありません。
3.それと同時に、個々の歯の形態を確認していきます。美しく見えるものには一定の比率(黄金比1:1.6)があると言われています。一般的に左の症例のような比率になっていると、バランスの取れた綺麗な状態に見えるのだといわれています。これら比率を審美歯科では、ゴールデンプロポーションと呼んでおり、審美歯科治療を考える上で基本となる考え方です。
当院でご用意している審美歯科メニュー
ラミネートべニア
歯の色をずっと綺麗に保ちたい、前歯に隙間があって気になる、歯並びを綺麗にしたいが矯正は嫌、前歯のバランスをよくしたい。そのような悩みを抱えている方に最も適している治療方法がラミネートベニアです。
ラミネートベニアは、歯をほとんど削らずに(削る場合でも約0.5mm程度です。全く削らない場合もあります)、薄いセラミックを歯の表面に貼り付ける治療方法です。(「付け爪」をイメージしていただければよろしいと思います。)ラミネートベニアによって、理想的な色・大きさ・バランスで審美性を獲得することが可能となります。通常の場合、治療終了までに3~4回しかかかりません。
歯へのダメージは最小限であり、最終的にどこを治療したのかわからないという患者さんの声が多く見受けられます。ホワイトニングと比較して、元の歯の色に関係なく綺麗にすることができ、また、治療後の変色や着色もほとんどないという特徴があります。
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンは、自然な光を透過する優れた性質を持ち、現時点では最も理想的と考えられている材料のうちの一つです。
金属を一切使わないため、金属アレルギーの方にも安心してご利用いただけるという利点もあります。
また近年の研究によると、口腔内の様々な異種金属(但しチタンは除く)が溶け出して、いろいろな体の不調和を生み出している(金属アレルギーとは異なります)とも言われていますが、オールセラミッククラウンであればそのような心配は一切ありません。
(注)研究段階であり、まだ科学的根拠は確立されておりません。
現時点でオールセラミックの素材としてよく用いられているのは、アルミナスオールセラミックとジルコニアオールセラミックです。
実は、冠の全てをセラミックで作り上げるためこれまでその強度が問題となっていましたが、最新の技術によってジルコニアなどの強度にも優れた材料が開発され、奥歯の力のかかる部分にも用いた場合でも信頼性が上がってきています。
中川歯科医院では、力のかかる奥歯や強度を必要とするブリッジなどには金属に匹敵する強度を持つジルコニアオールセラミックを、また、審美性が要求される前歯部の単独冠にはより透明度の高いアルミナスオールセラミックをお勧めしております。
オールセラミック治療ケース1
出っ歯を綺麗にして欲しい(治療期間2ヶ月)
・治療前(左画像)
段々と歯が動いてきて、今のような状態になっていったとのことです。矯正をして歯を元の位置に戻すというのもひとつの治療オプションですが、時間がかかるということでご希望になりませんでした。他にも治療すべき部分があったため前歯に関しては真ん中の2本のみということになり、結局左1番はプロセラオールセラミック、右1番はダイレクトボンディングで修復することになりました。
・治療後(右画像)
完全とはいえませんが、ある程度の左右対称性が確保されていると考えています。たった2本を治療しただけですが、ずいぶんとイメージが変わりましたね。人前で口を隠さなくても笑えるし、何より唇を閉じるのが楽になったとの感想を頂戴しました。
オールセラミック治療ケース2
歯肉のラインを綺麗に揃え、歯と歯肉の隙間をなくしたい(治療期間15ヶ月)
・治療前(左画像)
まず初めに考えなければならないのは、不揃いの歯肉のラインをどうするか?と、どうやって隙間を埋めるか?ですね。それらを一挙に解決できる唯一の方法が矯正治療でした。というよりも、矯正なくしては患者さんの希望を叶えることができないケースといえるでしょう。
・治療後(右画像)
非常にバランスの取れたキレイな状態にすることができました。金属を全く使っていない(ファイバーコアとオールセラミック)おかげで、術前に見られるような不自然な歯肉の色(金属の色が透過している影)は観察されません。
メタルセラミッククラウン
メタルセラミッククラウンは従来から多用されている審美治療であり、何といってもその強度と取り回しのよさは他の追随を許しません。
審美的にオールセラミッククラウンに劣る部分もありますが、ケースによってはオールセラミッククラウンが使用不可能な場合もあり、将来に渡って決してなくなることのない治療方法のうちの一つです。
当院では、奥歯の審美治療を行う場合、第一選択としてこのメタルセラミッククラウンを用いる場合が少なくありません。
また、ロングスパンブリッジ(多くの歯がつながっているケース)や複雑で特殊な入れ歯(アタッチメントやコーヌスなど)を用いる複合ケースでは、メタルセラミックが最適な場合があります。
メタルセラミッククラウン治療ケース1
長持ちする材料できちんと治してほしい
・治療前
硬いものを噛んだ時にセラミックを支えている歯が割れてしまい、現在は仕方なく入れ歯を使用しているものの、審美的・機能的に著しい障害があるということで、全体的なことも含めて固定式の歯をご希望です。
抜歯されている部分の歯肉(骨)が痩せており、このままブリッジを作っても綺麗にはなりません。また、残りの部分も縦横のバランス・歯肉のライン共に理想的とはいえません。
コンサルテーションの結果、審美形成外科で歯肉のラインを整え、また、痩せている土手には歯肉移植をしてボリュームアップをはかり、最終的にメタルセラミックブリッジを入れることになりました。
・治療後
全体的に整合性を得ることができ、歯がない部分の土手とセラミックの関係も非常に自然で審美的な状態であるといえます。入れ歯から解放された患者さんは、やっと本来の自分の戻ることができたとたいそう喜ばれました。
セラミックインレー
セラミックインレーは、今現在入っている金属の詰め物をきれいにしたい場合や、新たに発生した虫歯がダイレクトボンディングでは強度的に不安が残る場合など、比較的大きな詰め物の材料として多用される修復方法です。
当日に治療終了となるダイレクトボンディングと異なり、削った歯の型を取る必要がありますので通常2回の治療回数が必要となります。
強度的に優れている特徴があります。
ただし、あまりに強烈な歯ぎしりをしている方など、過度な咬合力がかかると予測される患者さんにはあまりお勧めできません。いくら強度があるといってもさすがに歯ぎしりの力にはかないません・・・。
セラミックインレー治療ケース1
虫歯を治療して、見える所は綺麗に白くして欲しい
・治療前
歯医者が苦手な患者さんで、前歯の虫歯があまりにも目立ってきたので思い切って来院されたとのことです。虫歯になっていることを除けば、ゴールドインレー・クラウンが多くの歯に使われていますが、虫歯であること・患者さんの希望されている審美的な状態を考えると全て外してやりかえる必要があります。
・治療後
詰め物の耐久力だけを比較するとゴールドに敵う材料はありません。「どうせお金をかけるなら白くて綺麗なほうがいい」と考えることは至極当然のことだと思います。しかし、上顎の奥歯であまり審美性に関係ない部分に対しては、私はよくゴールドインレーをお勧めしています。
上記ケースもその考え方に基づいており、逆立ちしない限り見えない奥の部分にはゴールドインレーを使用させていただきました。値段の差は全くありません。純粋に患者さんのことを考えての結果です。もちろんご希望により白くすることも可能です。
セラミックインレー治療ケース2
みっともない銀歯を白い材料でやり直して綺麗にしてください(患者さんの言葉をそのまま引用)
・治療前
一部を除いて特に虫歯になっているという状態ではありませんが、患者さんが外して綺麗にしたいとお考えの場合はそれが大義名分になると考えています。このケースの場合、比較的大きな金属が入っている部分はセラミックインレー、小さい金属の部分はダイレクトボンディングで対応させていただきました。
・治療後
審美性で比較すると、もはや比較することすら意味がないくらいに改善されましたね。まさに患者さんはこのような状態を望まれていたのでしょう。リーズナブルなダイレクトボンディングが大半を占めましたので、患者さんの考えていた予算をずいぶんと下回った費用負担ですみ、二重に感謝されたことが記憶に残っています。
ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングとは、比較的小さな虫歯に対し削った穴に直接合成樹脂(ナノフィラーレジン)をつめて(接着)、当日のうちに終了する治療方法です。
セラミックを用いた治療(セラミックインレー)より費用負担が少なく、多くの患者さんに喜ばれる治療です。
また、虫歯の部分だけを削りますので、体にとって非常に優しい治療といえるでしょう。
ダイレクトボンディングで使用される合成樹脂は「ナノフィラーレジン」と呼ばれ、粒子が非常に細かく研磨することにより表面が滑沢になりますので、汚れがつくにくい・変色しづらいという利点があります。また、いろいろな歯の色に対応できるように、豊富な色調が取り揃えられています。
ダイレクトボンディング治療ケース1
すきっ歯を治してほしい
・治療前
上の前歯がいわゆるすきっ歯でした。矯正治療ですきっ歯を治すことも出来ますが、時間と費用が掛かってしまうという点で、患者さんはお悩みになっていました。
・治療後
当院では、この程度のすきっ歯であれば、簡単にダイレクトボンディングで対応することができます。 治療後はすっかりキレイな前歯になり、患者さんの表情も大きく変わりました。